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ユウトの進路指導

Career Guidance

YUTO

-Graduates of YUTO-

ユウトの先輩たち

スポーツが苦手な子も好きになる体育の授業を!

北海道教育大学釧路校

保健体育研究室 准教授

函館市立本通中学校 出身

卒業2004年

山本 悟さん

教育大学で体育の先生を養成しています
北海道教育大学釧路校で小中学校の保健体育の先生を目指す大 学生と大学院生を教えています。私の専門分野はスポーツ運動学の コーチングという分野ですが、中学や高校でいう体育実技のような授 業のほか、保健体育の専門以外にも広い視野を持った教員になって もらうための社会科学入門や倫理・人権と言った科目、大学生として の教養を身につけるアカデミックスキルといった科目、教員としての 知識を身につける教職実践演習、保健体育科教育演習、スポーツ方 法学演習と言った教職専門科目も担当していますから、月曜から金曜 日まで朝から夕方までほとんどが授業とその準備の毎日です。 そのほかに大学教員には、専門分野の研究を行い論文を書き、学 会で発表するという重要な仕事もあり、そのために毎日、夜の2時間 をあてています。

子どもたちのやる気を引出し伸ばしてあげるコーチング
スポーツ運動学でのコーチングとは、コーチ自身の指導法をよりよくするための研究です。 コーチングが目指す、より良い指導の重要ポイントは、コーチされ る人の側に立って、本人の意欲を引き出し高めていくことにあります。 けして無理強いしたり叱ったりするのでは無く、出来ない原因を確か め、解決法を見つけ出し、練習の仕方を改善し、成功に結びつけるの がコーチングです。出来るようになった成功体験を感じさせてあげる ことで、さらに出来るように練習がしたくなり、さらなる成功体験を目 指してがんばるようになる。単なる精神的な頑張りではなく、適切で 効果的な練習方法を模索し、実践することで知識が知恵となり自然と 練習法も自分で考える人になるように競技者本人を伸ばして行くこ とがコーチングの狙いです。 私はコーチング学を将来は小中学校の体育の先生になる学生た ちに教えることで、子どもたちが運動が好きになるようになることを 願っています。 運動が好きな人には、理解できないかも知れませんが、運動が苦 手な人にとって、体育の授業は大変に苦痛です。鉄棒や跳び箱ができ なかったり、かけっこが遅かったりすることで気持ちが沈み、そのまま 体育の授業だけではなくスポーツすることも嫌いになってしまう人も います。スポーツをすることは心と体の健康の維持に一生大切なことですし、運動が苦手なことが不登校の要因になってしまうことがあれ ばとても残念なことです。跳び箱が跳べない子に、先生はどんな声を かけ、どうやって跳べるきっかけを見つけ、跳ばせてあげるのか?特に 体育教科だけではなく国語や算数など全教科を教える小学校教員を 目指す学生の授業では、このことをコーチングの授業で様々な事例 データを用いて理解してもらえるように努めています。

コーチングについて学ぶきっかけは、大学でのことでした。
私は小学5年生からジュニア体操クラブに入会して体操競技を続 け、有斗高校時代には北海道を代表して国体に2度出場するまでにな りました。けれども高校3年の後半には手首に痛みが発症し手術を受 けても完治せず、思うような競技ができない状態になってしまいまし た。痛みの原因は小学生の頃からの練習で積み重なった関節の疲労 でした。 それでも、子どもの頃から慣れ親しんで来た体操にこだわり続けた いという私の願いを有斗高校の先生は受け止めてくださり、すすめて くれたのが千葉県にある国際武道大学体育学部への推薦入学でした。 この大学に入学してとても良かった事は一年次からスポーツの種目 別にゼミがあり、一つの種目を専門に4年間にわたって理論と実技を 学べたことです。 私は体操専門ゼミに所属し、体操競技者のコーチでもある教授の もとで、鉄棒や吊り輪など体操全競技の運動力学的理論や練習方法 とコーチングを学ぶことができました。体操選手としては、体操部に 入部したもののやはり手首が完全に回復しなかったため一年次に引 退しましたが、その後は学生コーチとしてチームメイトをサポートす る立場になり、ゼミで学ぶ体操理論やコーチングをチームメイトのサ ポートのために実践的に役立てることが出来たので、おのずとコーチ ングそのものへの理解も深まりました。 だた、あまりにも熱心にコーチに励んでいたため、卒業後の進路は 未定のまま大学4年生の秋になってしまったのには困りました。どうし たものかとゼミの先生に相談したところ「君、それはもうコーチング をさらに研究するために大学院に進むしか道はないよ!」との一言。そ れから生まれて初めて一般入試で受験するため猛勉強して合格でき
たのが上越教育大学(新潟県)の大学院教育学保健体育コースです。 私はここでさらにコーチングについて海外の文献や、実績データ を研究し論文にまとめ、修士号(教育学)を修め、その後、新潟県で小 学校の体操コーチや公立の体育施設を作るコンサルティングなどの 仕事をしたのち、現在の北海道教育大学釧路校での仕事につくこと ができました。

体操をとおして地域を元気に!
私は今、大学での仕事のかたわら、体操を愛する仲間と体操クラブ を 立 ち 上 げ 活 動 し て い ま す 。名 称 は「 シ ュ ピ ー ル 体 操 ク ラ ブ 釧 路 」。 シュピールとはドイツ語でゲーム・遊びという意味です。文字通り遊び ながら体操を楽しく元気に身につけてもらうためのクラブで幼稚園 から社会人まで70人の会員が参加しています。発足から5年で、小学5年生から体操競技を始めた子が今では高校生になって全道大会に 出場するようになったり、運動を楽しむことが目的でいつも元気に 通って来る子もいて、運動ができない子ができるようになることを テーマにして活動して来たことが実を結んで来ています。子どもたち の送迎には働いている親御さんの代わりにおじいさんやお婆さんが 来られることが多く、いつも孫たちを愛おしく見つめておられるので、 この活動はずっと続けなくてはと強く思います。 日本では人口減少や高齢化が進み、特に地方の街での問題は深刻 化の一途をたどっています。私が住む釧路や道東の町村では水産業 や酪農業の衰退もあり、地域経済の面でも問題は山積みです。そう 言った状況の中だからこそ、地域の人々がもっとスポーツを楽しく身 につけることで健康面から豊かな気持ちになって欲しいと思います。 本来、コーチングは、ビジネス分野での人材育成のために開発され た学問ですから、スポーツができるようになる成功体験を通してコー チングの素晴らしさを知った人が、地域づくりやビジネスの分野でも コーチングを活かして地域を活性化してくれる人材になってくれるよ うに願い、コーチングで楽しくスポーツする健康イベントを企画し、地 域の人々とのコーチング普及のためのネットワークを広げるようにし ています。今後も地域の未来のために夢を抱いて挑戦していきます。

有斗高校時代は体操部に所属し2度の国体出場。卒業後、国際武道大学体育学部に進学し体操部に所属、学生コーチとして競技選手らのサポー トを行いコーチングを学ぶ。大学卒業後は上越教育大学修士課程でスポーツ運動学を研究。2014 年10月に北海道教育大学釧路校に講師として赴任。2019年4月より同校 地域学校教育実践専攻保健体育科教育実践分野 准教授。

※2022年に取材した記事です。

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